集まる意義

子どものころ、NHK/教育テレビで流される科学特集番組が大好きだった。

そのなかでも強烈な記憶に残っているシーンがある。そのシーンがモノクロだったのか、カラーだったのかさえ記憶は曖昧だが、危機に瀕したアメーバの集団行動の見事さ、不可思議さ、なぜ?という驚きはいまだに鮮明なビジュアルとして残っている。

通常、アメーバは単細胞生物の代表みたいに、ちょくちょく科学番組に出演する。たった1つの細胞なのに周囲のバクテリアを補食するし、排泄も行う。その上増殖までする。実に観ていて飽きない原始的な生物だ。だが、その日に観たアメーバは環境の悪化による食糧事情の危機に直面する。すると不思議なことにアメーバ同士が集まりだし、ついには1匹の巨大なイモ虫に変身する。*1

そしてさっきまで単細胞生物の代表みたいだったヤツらが、各自てんでバラバラ、自由に振る舞うのをやめるのである。その行為すら不思議なのに、集合し1匹のイモ虫に変身したコイツは、もっといい環境を探して、1匹のイモ虫になったまま移動し始める。*2意外な成り行きに、驚きズッコケている子どもだった私の予想を裏切り、さらに選ばれた次世代へ命をつなぐ自分たちの卵というか、胞子へと変身した一部の仲間を詰めたカプセルを創り出し、今度はまるで植物のごとく上へ上へと伸びていくのだった。3度ビックリである。

いまではこの生き物が変形菌(Dictyostelium discoideum)だと知っているし、変身したイモ虫姿を「グレイス」と呼ぶことも知っている。*3この「グレイス」という名前のイモ虫はまるで独立した1匹の生き物のように、感覚を持っていて熱や光を関知し、時速1mmという猛烈なスピードで、ごくわずかな明かりを求めて2週間近くも這い続ける。そして植物状に変身するときも、同じように移動してきた他の「グレイス」との距離を適切に調整し、もっとも効率よく胞子をばらまけるように変身するのである。

バラバラに行動するアメーバが環境の悪化を知り、他のアメーバたちに声をかけ、社会的行動にでる一番最初のきっかけは、まるでフェロモンやホルモンのような細胞間に伝播する化学物質だということが、いまでは判明している。なお、このアメーバが発した「細胞間に伝播する化学物質」はどんな生物も持っている成分だそうだ。

集まるということの意義

もし個々の能力を超えた大きな社会的意義のあることを成し遂げようとするなら、

  1. 個々のコミュニケーションを呼び合うきっかけとなる1つの提案*4
  2. 集合体となり方向を関知する感覚
  3. 全体像としての計画を参加者すべてに知らしめるネットワーク

がしっかりしていれば、善意の個が集まる意義がキチンと見いだせるのではないだろうか? 


死にかけたじいさん(金持ち父さんのなれの果て)のいうことは正論だ。制度に守られた医者のいうこと、旧泰然の教育システムに守られた先生のいうこと、議員を含めた公務員のいうことも正論だ。
だがマクロに観てごらん。その正論を認めたままでいると喰い殺されるのは弱者である若者や貧乏人だ。戦争が起きて「罪のない女子どもが死ぬ」のは誰でも理不尽だとわかる。しかしいちばん真っ先に数多く死ぬのは若者と貧乏人だ。ニート精神障害では逃げ切れない。ましてや選挙へ行っても変わらない。2チャンネルに集まったって生き残れない。そのために『学習高速道路/企画とプレゼン手法』という学習情報開示のブログを作ってる。変えられるのは危機意識をキチンと持った「個である自分」を確立できた人だけだ。無意識な人がなにげに集まっても意味はないし、変革を起こす力も持たない。...と思う。
 

*1:イモ虫というのも矛盾している。蝶には変態しないのだから。なので生きたソーセージ?みたいな1匹の生物と考えてもらった方がいいのかもしれない。

*2:まるでマンガだ!

*3:巨大なイモ虫と思っていたのは、実際は2mmの大きさだということにも驚いたけど...

*4:その後の指針となるミッションを含む